
なんでも言い合える透明性で、意見をぶつけあった1年間。KDDIウェブコミュニケーションズさんに、TAM社長が聞いてみた

レンタルサーバー「CPI」などのサービスを通して、企業にICTソリューションを提供するKDDIウェブコミュニケーションズさん。TAMはその大規模サイトリニューアルを、KDDIウェブコミュニケーションズさんと一緒に1年以上にわたり取り組んできました。
「いいもの」をつくることを追い求めながら、様々に発生する「想定外」を、チームとしてどのように乗り越えていったのでしょうか?
KDDIウェブコミュニケーションズ CPIのマネジメント層・現場の皆さんに、TAM社長が聞きに行きました。
—— 今回は、KDDIウェブコミュニケーションズさんのオフィスにお伺いし、近所のいちょう並木を散歩しながらお話しています。
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- KDDIウェブコミュニケーションズさん
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- 森下源一さん、山田兼司さん
- 伊藤和美さん、岡山沙織さん、小泉志穂さん
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- TAMメンバー
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- 爲廣慎二/代表
- 二階堂仁 、宮原楓子 、豊田久美子、安田学
- 撮影:藤山誠、編集:佐藤佳穂
クオリティと納期の狭間で、未知のことを進めるには?

TAM代表 爲廣(以下、ため )
今回は大規模なサイトリニューアルで、1年以上にわたりお世話になりました。
皆さんから見てリニューアル前のサイトにはどんな課題があったのでしょうか?
山田さん(KDDIウェブコミュニケーションズ)
毎日お客様のことはたくさん考えているのに、自社のことはつい後回しにしてしまっていて。
レンタルサーバーCPIはメインのお客様がWeb制作会社様で、普段からいいWebサイトを見慣れている方たちだと思うので。サイトで伝え方を考えるにも、ハードルが上がってしまって。
ため
わかります。 TAMも、自社サイトが一番苦労しますから。。自分たちのこととなると、つい、あれもこれも…となってしまってアカンですね。

山田さん
直したい点や、やりたいアイデアはたくさんあったのですが、それがどれだけ売上に貢献するかも検証しないといけませんし。
森下さん(KDDIウェブコミュニケーションズ)
実は、過去にもリニューアルは何度か進めようと挑戦して、途中で頓挫したことがあって。現場にはモヤモヤがたまっていたんです。
予算を決めて外部委託、ではなくて「どんなリニューアルをすべきなのか」を一緒に考えてくれるパートナーを探していたのだと思います。
二階堂(TAM)
最近ではゴールの設定から考える機会が多くなっていますね。今回も「サイトリニューアルで何を実現するべきか」を関係者で考えていくところからスタートしました。

いいアウトプットのための意思決定
ため
リニューアルプロジェクト、おつかれさまでした。みなさんは現場を進めながら、どんなことを考えていましたか?

伊藤さん(KDDIウェブコミュニケーションズ)
私は社内のデザイナーとして、以前からずっとサービスの見え方を良くしたいともんもんとしていて(笑)。なかなか実現する機会がなく今回こそは!と思っていました。TAMさんはその想いを汲み取ってくれて、「時間がないから」と妥協することもなく、本当にいいリニューアルができたと思っています。
宮原(TAM)
TAMも、できる限りの要望にこたえたいと思い、コミュニケーション戦略、技術選定、コンセプト定義からデザインと、それぞれのフェーズで関係者全員が納得できるまで時間をかけました。

ため
納得するいいものをつくりたいと思う一方で、何が課題でどこに向かうべきかが見えていない時期は、ハラハラしますよね。これでちゃんとスケジュール通りにいくんかな、とか・・・
やはりプロマネが重要になってくるんでしょうか。
岡山さん(KDDIウェブコミュニケーションズ)
最近のプロマネは難しいですよね。変化が早すぎて、事前に想定しきれないこともたくさん出てきます。
今回は、「TAMさんから提案を受け取って、フィードバックを戻す」のではなく、関係者全員で提案内容の理解を深めながら進んでいきました。技術選定のときは、安田さんと構成図を見ながら何度も議論をしましたよね〜。
安田
たくさんやりとりしましたね!
技術選定では、今回のサイトが目指す姿を深堀りしていったら、自然と「Jamstack構成」が浮かびあがってきた感じです。

岡山さん
そうですよね。ですが、Jamstackはクラウドサービスに向いている、というイメージがあったので、弊社のレンタルサーバーでどうやってやるんだろう?と思って。想定外になってしまってました。
安田
たしかにチャレンジングではあって、外部サービスの連携からデプロイの流れまで、かなり細かく話し合いましたよね。

岡山さん
自社サイトをJamstackでつくるのは、自分たちでレンタルサーバーのサービスの使い方を試すことでもあるな、と本質的なことに気づいて。話し合っていくうちに、「なんか、できるかも!」と思えてワクワクしてきました。
小泉さん(KDDIウェブコミュニケーションズ)
私はサイトの運用の観点から不安もあったのですが、安田さんと一緒に一つずつ確認していくうちに、むしろ楽しみな気持ちに変わっていったと思います。

ため
安田くん、人気者やなー!
プロジェクトをマネジメントしていくためにも、まずはお互いの情報やアイデアのキャッチボールから始めていったということですね。始めに全部を予測するのは難しいですが、キャッチボールをしてだんだんプロジェクトに「適応」してくると、進むべき方向が見えてくる。
「透明性」の使いこなし方

ため
チームでしっかり「適応」して、意思疎通できるようになるのは時間がかかりますよね。デザインでは、納期とか心配になったりせんの?豊田さんは、こだわるもんな〜
豊田(TAM)
いや心配しますよ!
もちろん一生懸命いいものにしようと案は考えるんですけど、私は実はビビリでもあるので(笑)「そろそろ、このあたりで決めてくれないかな〜(泣)」と思うこともありました。でもそういう時に必ずチームの誰かから「この点はどう考えていますか?」と鋭いコメントが返ってきて。

伊藤さん
豊田さんはいつも期待以上で応えてくれるので、私たちもつい追い求めたくなってしまって・・・!「KDDIウェブコミュニケーションズらしさ」というムズカシイ要望を、いろんな角度からデザインに落とし込んでくれました。
豊田
戦略やカスタマージャーニーで出てきた意見からコンセプトを自分なりに落とし込んでみたり、CPIさんの一番の売りはこれだ!というものから掘り下げてみたり、「KDDIグループならでは」とはどんなものだろう?と整理してみたり…

ため
タイヘンなプロセスやな〜!
伊藤さん
ここまでのものが出てくると逆に「この部分はどう思いますか?」「ここはもう少し深堀りたいです」といったやりとりが、どんどん盛り上がっていって。豊田さんには言い過ぎちゃったところもありますけど、とても透明性が高かったな、と思っています。(笑)
ため
なるほど「透明性」!ええ言葉ですね。お互いに思っていることを言い合えるのは、大事です。

宮原
納期の問題とか「怒らせてしまうかな…?」とビクビクするような場面でも、率直に話し合えたのはよかったです。結果的にローンチが遅れ、ご心配をおかけしてしまいましたが。
伊藤さん
ですが私たちも、「事前にこれを伝えておくべきだった」という点もたくさんありましたから。それでも想定外が出てきた時に、真摯に一つずつ向き合ってくれるTAMさんの姿勢がありがたかったです。あっという間に1年以上もたっていましたね。
豊田
皆さんの「本当にいいものをつくりたい」という想いがフィードバックの量と内容に表れていましたから。その熱量を受けて感謝の気持ちも湧きますし、何とか良いアウトプットにつなげたいと。

宮原
あとは・・・ネコでほっこりしていました。
一同
(笑)

伊藤さん
長期的に見れば、納得するサイトをつくることが費用対効果の高さになると思っています。サイトを見たお客様にも、CPIのことを「いいな」と思ってもらいやすくなりますよね。
宮原
納得できるリニューアルのために、忖度なしでコミュニケーションできたことが今回誇れることです。
ため
ネコで和んだりしてお互いを知っていきながら、
やりとりの過程を見えるようにしたり、考えた過程を貯めていったり、Miroなどのツールを使いながら工夫していくとプロジェクトに「適応」できていって、成果物を出せる「チーム」になれるのかもしれませんね。

「ちょっと話してちょっと進める」はどうしたらできる?

ため
今回のプロジェクトは「実現したいことが何か?」から一緒に考えていきましたが、今後はどのようにプロジェクトを始めようと思いますか?
山田さん
依頼されたものをつくるだけでなく、「それが本当に世の中にとって必要か?価値があるか?」を考えて、スクラムを組んで、確認して、少しずつ開発していくような進め方が必要だと思います。

森下さん
「ちょっと話して、ちょっと進めて」を繰り返す、「相談相手」という関係性かもしれません。こちら側の「こうしたい」に対して、TAMさんからも「こうしてはどうか」という意見が出て。一度ぶつかりはするのですが、その過程を経ていいものができるのでしょうね。ぐいぐい言ってもらえてありがたいです。
ため
言い過ぎていないといいですが(笑)。
共創しようとすると、現場メンバーとの話でも挙がった「なんでも言い合える透明性」が必要になりますね。
山田さん
ある意味TAMさんに「全部おまかせ」で進めていたら、もっと早くリニューアルが完了していたかもしれません。でも、本当に望むアウトプットにはならなかったはずです。

森下さん
満足いくクオリティで、かつKDDIグループのセキュリティ要件をクリアする形を見つけるのは大変でした。「Jamstack構成」を含めて、今回のサイトはお客様にも自信をもってオススメできる、KDDIウェブコミュニケーションズのレンタルサーバーの活用事例にもなりました。
お客様に提案するなら、まずは自分達でやってみないといけませんよね。
二階堂
レンタルサーバーを使ったJamstackは事例としても稀です。AWSやホスティングサービスを使わずにできるので、セキュリティが厳しい企業さんでも可能な構成になっています。TAMとしても珍しい事例で良い経験になりました。

山田さん
今回、(レンタルサーバーを利用する)お客様の立場でもあるTAMさんと、プロジェクトを一緒にやるというのは、我々にとっても貴重な経験でした。
結果としてアウトプットが満足いくものであることはもちろんですが、クライアント側・支援側がひとつのチームとなって透明性を保って大規模なプロジェクトを遂行できたことに、価値があったと思います。

森下さん、山田さん、伊藤さん、岡山さん、小泉さん、ありがとうございました!
リノベーションしたての素敵なオフィスも見学させていただきました。これからもよろしくお願いします。
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