TAM社長が聞きに行く デジタル・トランスフォーメーションへの道! 青山商事様

「洋服の青山」新規事業DXプロジェクト
青山商事さんに、TAM社長が聞いてみた

「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などのブランドで、ビジネスウェアを中心に働く人の毎日を支える青山商事株式会社さん。TAMは2019年から支援してきた「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」に続き、新規事業のレンタルサービス「hare:kari」(ハレカリ)もサポートしています。

「hare:kari」のブランド構築から店舗設計も含めた運用支援まで、「依頼する・される」がなくても自然と新たなアイデアが生まれ、施策を実施していける関係性はどのようにできあがっていったのでしょうか?

「hare:kari」サービスの責任者を務める新谷知泰さんに、TAM社長が聞きに行きました。

——青山商事さんの本社地・広島県福山にお伺いし、商品センターでハレカリの商品や梱包現場を見学しながらお話しています。

  • 青山商事さん
    新谷知泰さん、坂井秀和さん/営業部
  • TAMメンバー
    爲廣慎二/代表
    引野文也、大内千佳/プロジェクトリーダー
    撮影:藤山誠、編集:佐藤佳穂

「洋服の青山」が「パーティー服のレンタル」?

TAM代表 爲廣(以下、ため )

青山さんといえば、ビジネスパーソンの「働く服」のイメージがありますね。TAMメンバーも、一度はお世話になったことがある者が多いです。
「レンタル」の新規事業は、どういった経緯で始まったのですか?

新谷さん(青山)

今回は「働く服」とはちょっとちがって、結婚式で着るような「パーティー服」のレンタルをデジタルを中心に拡大することになったんです。
店頭でのお客さまとの会話や調査から、日常の仕事服よりもパーティー服は一時利用できるレンタルの需要が多いとわかってきたので。

ため

「パーティー服」ですと、見せ方はビジネススーツとはちがったものになりそうですね。

新谷さん

そうなんです。新しいブランドが必要だと考えていました。
それで、「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」でも支援をいただいているTAMさんにご相談したんです。

新谷さんがモーニングを着せてくれました。新郎新婦のお父様がレンタルすることの多い商品だそう。

ため

ありがとうございます。とくに課題に感じていたことはありますか?

新谷さん

もともと「洋服の青山」は、店頭・接客に強い会社です。本部社員も全員、いつでも店頭に立てるくらい、商品知識や接客方法が頭にたたき込まれています。
ただ今回は「店頭」じゃなくてデジタルからのスタートなので、お客さまと直接コミュニケーションする「接客」とちがってブランディングが必要と考えていて。

ため

なるほど〜。それで、御社の強みと別の部分への期待で、TAMにお声がけいただいたと。

新谷さん

そうですね。でも正直、「パーティー服のレンタルサービスつくろう!」くらいしか決まっていなかったので「こんな先の見えない状況で外の人に相談してうまく進むものかな?」という心配もありましたね。

ため

最近はとくに「どうやるか」以前の「なにをすべきか?」が難しくなっていますよね。
いろんなモノやサービス、マーケティング手法も溢れている中、「色々あるのはわかってるけど、何するべきなん!?」って。

新谷さん

依頼する側としては、「依頼事項を明確にしなきゃ!」という意識がありました。ただ今回は、僕らとはちがう視点が得られることが重要だったので、あえて白紙に近い状態からTAMさんにも入ってもらうことにしたんです。

レンタルサービス「hare:kari」(ハレカリ)の商品をお届けするブランドロゴ入りBOX。テープやBOX、同封物などの演出もプロジェクトで一緒に創り上げていきました。

ブランディングを考えるのは、共通認識をつくることだった

新谷さん

始めはプロジェクトメンバーの認識も、バラバラでしたよね。パーティー服のレンタルで「なぜ買わずにレンタルするのか?」「どんな時に、どんな気持ちで借りる?」ということが、意外とぼんやりしか見えていなくて。

引野(TAM)

そうですね。そのあたりが曖昧なまま、ブランドの戦略やサイトデザインを決めていくべきではないと思いました。
メンバー全員でのワークショップを繰り返して、特に本質的な「パーティー服をレンタルする価値」を全員で紐解いていった感じです。

ため

「価値の共有」は大事やね!家族や恋人とも価値観の共有をしていくもんな〜
ただ、「じゃ、今から価値観共有しましょう!」って言ってすぐに共有するのは難しいですよね。お互いのことって、時間を共にする中でだんだんわかっていきますし。

新谷さん

価値の共有も大事なんですけど、プロジェクトとして新規事業を早く形にしたいという思いもあったので、葛藤でした。「このままTAMさんと進めて大丈夫なんだろうか?」という不安もあったのが正直なところです。

ため

メンバーがご心労かけすみません(笑)。その不安を耐え抜くことができたのは、なぜだと思われますか?

新谷さん

プロジェクトメンバーみんなの熱量ですかね。
生みの苦しみを共に味わっている中で(笑)、みんなの中に絶対成功させるぞという信念が芽生えているのは感じました。

坂井さん(青山)

不安な時期は僕もあったんですけど、やっぱりアイデアやコンセプトが「ビジュアル化」されていくと、期待感に変わっていきますよね。

ワークショップなどを通じて、ブランド名称やロゴ、ビジュアルの統一した世界観を、目に見える形にしていきました。

引野

ワークショップで付箋を貼る量が増えていくのを見て、共通の理解が増えていっているんだな、と実感しました。
たとえば「披露宴に参加する服を、どういう気持ちで選ぶのか?自分が目立ちたい?目立ちたくはない?」といった所から「そもそも友人の結婚式に参加することの意味は?」とだんだん掘り下げていって。
最終的に「誰かのハレの日、ハレの時間を一緒につくる。でも借りられる手軽さも大事」という価値が見えてきて、「hare:kari」(ハレカリ)というネーミングも決まっていきました。

新谷さん

TAMさんは他の案も出してくれたんですが、そこにたどり着くまでの長い道のりを共有していたからか、ネーミングは驚くくらい満場一致でスッと決まりましたね(笑)
「hare」と「kari」の間にある「:」の二つの点の意味のアイデアも、ハレの日の「主役と自分」「新婦と新婦の父」「女性服と男性服」とかメンバーから色々出てきたりして。

ため

いわゆるクリエイティブ側からの「ネーミング案のご提案」ではなくて、認識合わせの過程で自然と「答えがきまっていった」というのがオモロイですね。あくまでもプロセスの結果やと。

新谷さん

はい、バラバラだったメンバーの認識がだんだん共通の認識に揃っていくから、ブランドができていくんですよね。
キービジュアルや「ハレカリ」という名前をつくって、外の世界との関係を築くことがブランディングだと思っていたんですが。
それだけじゃなくて、サービスの価値を考えるところから始まって、クリエイティブに落としていくまでのプロセス自体がブランドづくりなんだと、思いましたね。

デジタルとリアルの垣根を超えたプロモーション

引野

いまはサービスがローンチして運用フェーズなのですが、青山さんとTAMで定例ミーティングを持ちながら、広告配信やSNSのアカウント運用、サイトのUIUX改善など、いろいろな施策に取り組ませていただいています。

新谷さん

店舗づくりにも取り組みましたよね。
ハレカリはデジタルで始まったブランドですが、青山の強みである店舗を活かして、OMOを実現していきたいと考えていて。「洋服の青山」の旗艦店舗の池袋にハレカリのコーナーをつくることになりました。

ため

店舗のリアル空間の設計は、デジタルのブランドづくりや体験設計とはまたちがった難しさがありそうですが、うまく展開できたと思われますか?

新谷さん

ブランド構築のフェーズで時間をかけて共通認識をつくれていたので、スムーズに進んだのだと思います。
結婚式などハレの日に着る期待感を連想させるとか、TAMさんのアドバイスをいただきながら演出物、ショップカードやリボンのデザインも、ブランドの見せ方に沿ってみんなで考えていきました。

ため

なるほど〜。「共通認識」がここでも効いていますね。
発信場所や展開方法がちがっても、ブランドの大事にする価値や伝え方は変わらないですからね。

大内(TAM)

私たちの元々の専門はたしかにデジタル分野ですけど、「ここからここまでの範囲で」「デジタルの中で」とは考えていなくて。青山さんの価値が伝わって、成果が出るには何をしたらいいのか?毎日考えています。

「依頼」がなくても、意見や提案が出し合えるチームづくり

引野

最近は「ハレカリのために次はどんなことができるかな?」って考えるのが日課になってしまってます。

大内(TAM)

引野さんは、普段オフィスにいても「これ、ハレカリのヒントになりそうかも!」とか、発見をよく教えてくれますよね。

ため

毎日たのしそうやなー!
たのしんで自分のことのようにクライアントワークに取り組めるのは、理想的ですね。そういう、自然とアイデアを言い合える環境ってどうやってできていったんでしょう?

新谷さん

最初からこういう関係ではなかったと思います(笑)。もちろん、お互いビジネスですし。
でも、サービスページを公開した瞬間、子供が生まれたかのように「できました!!!(生まれました!!!)」ってTAMさんに電話しちゃいましたよね。いつの間にか、チームができていたような気がします。

坂井さん

プロジェクトの過程で共通認識ができていき、「受発注の関係」を超えたものになったかもしれませんね。外部業者でもなく、同僚でもなく、TAMさんは「TAMさん」で特殊な存在です(笑)。
依頼していないことでも提案をしてくれたり、青山側もすぐGOを出したり。フラットに意見を言いあいながら、自然とプロジェクトが進んでいます。一緒にやっていてたのしいですよ。

ため

おお〜!それはありがたいことです。たのしんでやっているから、新たな課題やアクションのアイデアが自然に思いついて、言い合えるんでしょうね。
ブランドづくりの過程は、チームづくりでもあったんですね。

新谷さん

店頭でお客さまをおもてなしする接客と共通する部分もあったんだな、と思います。
お客さまと会話をして商品を理解してもらうのと、メンバーと「共通認識づくり」「チームづくり」をしながらブランドをだんだんつくっていくプロセスとは、たしかに似ています。

ため

「接客」ってそういう捉え方をされるんですね。オモロイです。

新谷さん

「リアルとデジタル」「ブランディングと販促」などはよくちがいの方に目が行ってしまいますけど、場所や方法が変わっても変わらないこともありますね。
どんな場所でも、本当の意味での「伝える」って想像よりもずっと時間のかかることです。
頭と心を悩ませながら小さな共有を一つずつ積み重ねると、だんだんと相手と自分の世界が共有できていって、それで初めて本当に「伝わる」んだと思いました。
hare:kariを成長させながら、これからも服の価値を伝えていきたいです。

全国の様々な店舗での経験やレジェンド店長時代のお話、パーティー服の知識もたのしく聞くことができました。新谷さん、坂井さん、ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします。

取材ギャラリー

タムくん

いつでもお問い合わせください。

TAMにご興味を持っていただきありがとうございます。
専門性の高い多様なメンバーが揃ったTAMと、共創プロジェクトをはじめませんか?
ご相談・ご質問は、こちらからお気軽にお問い合わせください。